Kindle Unlimitedで読めるおすすめBL小説

仕事が忙しい。久しぶりの更新です。

たとえ仕事が終わらなくてもBLのために帰ってくる。明日の自分に期待。

 

Kindle Unlimitedにまた入っていました(1ヶ月分だけ!)

読んで面白かったBL作品をおすすめします!

ネタバレ注意。

 

ひとつめ。

駆け出しの映画監督・太一は絶賛、スランプ中。気持ちを切り替えるため、2ヶ月の休暇を作り田舎に帰ったまでは良かったが、とあることに気を取られた拍子に、春原という男にぶつかってしまう。荒々しい言動と強面の割に、根は真面目で情に厚い質らしい春原と、彼の友人である無表情な男・環に付き添い病院に行くと、春原は全治2ヶ月と診断される。クラブのセキュリティとして働く春原が「仕事に穴を開ける訳にはいかない」と悩む姿を見て、太一は春原の仕事を2ヶ月の間、引き継ぐことを申し出る。学生時代からずっと映画漬けだった太一にとって、クラブのセキュリティという仕事は新鮮だった。なかでも、クラブの常連でもある春原の友人、環の存在が妙に気になる。第一印象は最悪で、これ以上関わり合いたくないと思うのに、環の方は太一に興味があるようで……。

 

ノンケ×ゲイ。田舎の「イエ」からの脱出BLでした。

封建的な田舎からの脱出ものって百合にも多いと思う。家父長制で苦しむ女がいれば、苦しみの質は違えどそこで息がしにくい男もいるんだから、BLだってクソ田舎から脱出してほしいよね。都会に住んで成功した攻めがスランプに陥って実家に帰ってきたら、子供の頃ならたぶん仲良くもならなかったような、ちょっと変わったやつと友だちになって。毎晩お酒を飲んでふらふらしてるプー太郎なのに、こいつと一緒にいるのは居心地がいい。とか思ってたら相手は地元の名家のお坊ちゃまで、ゲイで、その性的指向のせいで半ば勘当されかけてて、人生諦めてて。ほっとけね〜!ってなるのがいい。

お互いを好き合って気持ちも確認するけど、二人の状況はほんとに「不自由」。親からの圧力や不安定な仕事のこともあって、付き合いましたハイ幸せになりますってゆうのはありえないとわかってる二人の冷静さに胸が痛む。むしろ交際をカミングアウトすれば確実に引き裂かれる、そんな酷い話ある!?😭 それでも一緒にいるためにはどうするか…。何ができるか。

ここで二人がともに「恋愛感情に任せた駆け落ち」ではなく「個々の自立」を選択するところがめちゃくちゃいいんよな。良いパートナー関係を続けるってきっとそういうことだよね。

太一は映画監督、環はデザイナーとして、きちんと仕事をして生活を整えて。それはいいことなのに、でもどうしても思ってしまう。誰にも何も言わせない、邪魔されても蹴散らせるくらい強くならないと、太一と環が一緒にいられないのはなぜ?どうしてクィアの人物は(不本意に)(偏見や差別に晒されることで)強くならなくちゃならないのか…

この作品のいいところは脱出とその戦い方もだけど、カミングアウトに関する表現がよかった。環に「自分はゲイだ」と打ち明けられた春原の反応エピソードもよかったし、太一の受け止め方も素敵だった。無理解な家族に傷ついたかもしれないけど、良い仲間がいてよかったね。

環と対象をなすキャラクターがいます。かつてはクリームパンを分け合うほど仲のよかった、環のお兄さん。親に恋人結婚を反対されたことをきっかけに、環に対しても「親の言うとおりにしろ」「諦めてうちの会社で働け」と冷たい態度。それにも理由があるんだけど、人が傷ついた事実の前にはどんな理由も謝罪にはならない。環はお兄さんと和解して太一と都会に脱出するけど、お兄さんは田舎の権力者の長男という檻の中に囚われたまま。でも内部から壊していく戦い方もあるからね。

好きなシーン。環の髪の色を太一が褒めるシーン。今は淡く染めてるけど、実家に帰って会社で働くなら髪を黒くしなきゃと諦めムードな環に「そのままの環が好きだ」「似合ってるよ」と伝えてくれる太一。そうだよね。自分が好きな自分でいたいよね。

こういう作品を読むとBLって恋愛だけを描いてるわけではないというか、BLがフェミニズムならBLキャラクターも「男らしさ」の境界をどんどん撹乱してるのが好きなんだわたしは!クィアであれ。恋愛要素も萌えました。

 

 

ふたつめ。

年下攻め〜!!!!!大好き。

これも都会で失敗して田舎に帰ってきた男が主人公です。久々の実家でくつろいでいると、へんなTシャツを着たイケメンが現れて〜!?!?しかも別れた数年前と変わらず、今でも大好きと告白してきて!?

や〜〜〜。もうよすぎる。

幼馴染+年下攻め+美人受けってなんでこんなに良いんだろう。

受けは、「恋とかよくわからない冷めてるタイプのキャラクターを装っているが、実は年下の男の好意に甘えて立場を濁す都合のいいときだけ年上ムーブ全開あざとさMAX無責任な初心お兄さん」でそこもよかった。

 

みっつめ。

車会社のエリート×パン屋の青年。

パンが美味そうすぎ。パンが食べたくなる。

パン屋さんのお仕事って大変なんだね。

パンを通じた二人の距離の縮め方がすごくかわいかった!特に受けが積極的で、攻めと仲良くなるためにあれやこれやと考えてるのが嬉しかった。男同士だしどうせ…と卑屈にならず、自分の得意なパンでアピールしちゃおう!という前向きさが元気をもらえた。最高。

またすれ違いの末に手紙で告白!からの同棲の流れも穏やかでよかったな。攻めは名門大学卒のエリートなんだけど、受けはおそらく高卒の地元のパン屋さん。学歴の差というか、職業格差というか、本来なら交わらなかった場所の人間たちが隔たりを飛び越えて手を取り合えるんだって希望を持たせてくれるところがフィクションの力であり作家さんの力。

 

 

 

よっつめ!

■褐色わんこダイバー×傷ついた美形エリート■
大手広告代理店に勤める広瀬透(27)は、性被害の傷を癒やすため沖縄の離島へとやってきた。
そこで出会ったダイビングインストラクターの峰太郎(25)や、騒がしいダイバーたち、ちょっと不思議な島民との何気ないふれあい、何より透明度の高い海に癒やされ、自分の素顔を取り戻していく。
天真爛漫で海をこよなく愛する太郎と少しずつ惹かれ合い……

 

ストーリーが良かった!

フィクションで描かれる沖縄は(もしくは私含め本土の人間が理想化している沖縄は)南の海、ゆったり流れる時間、癒しの土地……そんなところでしょうか。しかし現実には、琉球は侵害され搾取され、今もなお基地負担や自然破壊といった形で沖縄で被害が続いています。

沖縄を都会に対する「癒しの象徴」としてのみ消費することは、適切な態度であろうか?というのが私の意見です(もちろん反語ですよ)

性暴力を受けた男性が主人公のこの作品は「癒し」よりも「抵抗」を描いていた点がよかったです。初めはもちろん、海やダイビングやインストラクターの峰太郎のおかげで傷も塞がっていくかのように思われますが、性暴力を受けた心の傷は塞がりきることはありません。些細なきっかけでぱっくりと割れ、血が噴き出します。

なんやかんやあり峰太郎と体を重ね、恐怖も和らぐのですが……自分を傷つけた東京へ帰らねばならない。あっけない、一度きりの関係が終わってしまったと思いきや、あっぱれ峰太郎が迎えにすっ飛んできます。ビーサンアロハシャツで(最高の男です)

んで、ゲイであることを理由に嫌がらせをしてくる同僚を殴って会社を辞めて沖縄に移住するラスト。この滝沢先生の作品は「拾われオメガはアルバイトフィアンセ」も読みましたが、暴力での解決が多くて非常に良い。(愛は暴力といつも言っていますが)差別や抑圧への抵抗の発露として、自分を踏みつけた相手を、クソな社会にファックと中指を立てる!そんなアツさのある作家さんです。

主人公カップル以外の周囲の人々もみんなアライかクィアで、雰囲気が良かった。

 

 

BL小説を読もう。

高遠琉加先生と菅野彰先生とゆう素晴らしい作家さんの本を読んだのでまた感想を書きにきます