おすすめBL漫画 2022前半

読んでよかったBL漫画。いきます。出版年関係なく2022前半に私が読んだ作品です。

山田ユギ『一生続けられない仕事』

新人弁護士・早坂義人は修習生時代に指導を受けた先輩弁護士・三上陽彦に憧れて、彼の事務所に入所した。頻繁に事務所に出入りする三上の同期弁護士・片山柾にイジられながらも日々忙しく仕事に励んでいる。しかし、三上と片山の間にある友情以上の「何か」に気がついてからはなぜか冷静ではいられなくて…!?

お仕事BL漫画。ストーリーがしっかりしていて、良い。

個人的には、森×三上のカップルが好きです。年下攻め×美人受けってええなあ。

 

のばらあいこ『秋山くん』

ずっと好きだったんです。
助けてもらったあの日から――。
不良グループの秋山君に恋した雑草系男子・柴。
思いあまって往来で告白すると、そこには秋山の仲間もいて…!
その流れで拉致され、柴も秋山も思いもよらぬスゴイ展開に!?
おふざけで始まったカンケイだけれど、次第に互いの心が通じ合い――。

エロくて最高の漫画だ。平凡攻め×美人受けってええなあ。

エロに執念があってよかったです。

 

 

倉橋トモ『いつか恋になるまで』

兄弟同然に育った千秋と和馬がそれを覚えたのは、中学3年のこと。
自慰に耽る千秋に気づいた和馬がもちかけたのが最初で、遊びの延長みたいなものだった。少なくとも和馬にとっては。
だから和馬に彼女ができた時も、何でもない顔をした。けれど無理をするほど気持ちのセーブは難しくなって、寂しそうな顔をする和馬に、余計に心はかき乱される。
そうして千秋は、ついに―――。

幼馴染っていいなあ~。友だちからの恋人関係ってあるけど、同性間の親密さが「恋愛」「パートナー」になる過程ってなんかしんみりしちゃう。①なんでもかんでも「恋愛」と名付けないでほしい ②でもまだ同性恋愛の作品はもっと増えてほしい ③それはそれとしてやっぱ「名づけられない状態」のクィアな関係が好きだ… 複雑です。

何回も思うが、友情→恋愛はステップアップでも成長でもなんでもないのに「そう」描かれがちで、親密な関係として周囲に認められようとすると詳しく説明しようとしても「恋人」にされるのまじで置いてけぼり感ぱない。

わんこ攻め×美人受けってええなあ。

 

 

しっけ『セックスドロップ』

 

しっけ先生のBLが私は好きなのだ。

なぜなら、セクシュアルマイノリティのキャラクターの描き方が上手いのだ。

恋愛感情とセックスだけでない、ゲイとしての悩み、偏見への不安、つまりアイデンティティがそこにある気がする。なんだろー、プライドが感じられるんだよね。実際のしっけ先生のスタンスはよく知らないですが。

ゲイであること、クィアを楽しんで生きてるかんじのキャラ描写がサイコー。

 

昨今は、LGBTQ+の周知の進みもあってか、「前向きで積極的なカミングアウトと、周囲の肯定的な反応」がBLでも増えてると感じるんだけど、この『セックスドロップ』は意外にも「カミングアウトしない」選択を描く作品なんだよね。

オープンゲイの黄海と、隠れゲイの黒木。同じゲイでも、こんなに違うんだよ~、いろんなゲイがいるんだっていうのをただそのまま書いてる。自分勝手だった黄海が黒木の気持ちを尊重して「隠れて付き合う」ことに付き合う変化もなんかいい。

すごいのは、「カミングアウト(したくても)できない」じゃなくて「カミングアウト(今はしたくないから)しない」なところ。些細に見えるんだけど、大きな違い。わざわざ言わないけど、ゲイってアイデンティティはしっかりある黒木。

「カムしない選択」を悲観的でもなく否定的でもなく、いくつかあるうちのひとつの選択として書いているのって、すごいよね? 

もちろん、カミングアウトしてオープンに戦ってきた過去の/今のクィアたちがいるからこそ、今があるわけで。でも、カミングアウトって、セクマイ全員が経験しなくちゃならないものってわけでもない。言いたくない人にまで言わなくていい。カミングアウトはゴールでもなんでもない。

そしてBLではカミングアウトは同性愛嫌悪的描写と共にあると思ってて、たとえば男が好きってカムして親に泣かれたり、ホモって呼ばれて孤立したり(最悪すぎて胸がくるしー)

『不屈のゾノ』も『いちか、ばちか』も読んだけど、しっけ先生のBLはノリで言うと「あ、俺ゲイだから」「そっかー」「そういや私はビアンです」「まじかーおめでとー」くらいの周囲の反応がなんかいいなーと思う。ふつーでいい。百合も描いてくれんかな

 

 

ダヨオ『肉食組曲

社会は何人から社会になる? 人が3人集まれば社会になるといいます。

じゃあ男が3人集まればホモソーシャル……になるとは限らないよね~

アンチが読んだら(アンチが読んだら!?)この『肉食組曲』って外見男なだけで中身腐女子じゃんw女の願望じゃんwwただの女子会wwwとか言いそうなんだけど、それはあまりにも私たちが社会の中で「大人の男同士がケアし合う場面」を見てないからだと思う。

なんかなー、たとえフィクションであっても「対話」や「あいづち」がある男性の描写って必要だと思うんよね。マウント合戦じゃない、労りのあるコミュニケーションをする男たち。恋バナでもいい、料理でもいい、同人誌オタクでもいい。友だちの失敗を笑わない、家父長制的でない、性差別的でない男性像をメディアでもっと見かけるべきなんだよ。男はつらいよとかノットオールメンとか言ってるよりも、自分も周りもつらくないモデル像をもっと作らなきゃ。本当は男性自身がしんどさや弱さを引き受けて作っていかなきゃなんだと思うけど……BLってある意味、アップデートされる「男らしさ」があるので、参考になりそう。ダヨオ先生の作品は「男らしくない男らしさ」の提案がうまいよな、と思います。

 

またおもしろいBLを読んだらブログに来ますねー。